『藁の盾』

昼暖かくて夜めちゃくちゃ寒いってどーなってんだ!(気温に対する怒り)


この日はファーストデーということで何か観なきゃ・・・という強迫観念に囚われ、
ジャッキー・コーガン』を観ようと思って電車に飛び乗ったものの時間的に間に合わず、
じゃあ『変態仮面』で良いかと思ったけどまさかのほぼ満席で諦め、

「あー・・・じゃあ『藁の盾』でいいや・・・」ということで(非常に失礼な態度で)『藁の盾』を観る運びとなりました。



今日5月10日なんです。
T・ジョイ京都で観たんです。




(ご覧になっている予告編動画は、ほとんどが前半の映像です)


というわけで観てきたんですよ。


前情報は「殺せば10億貰える凶悪犯守る映画」くらいでほとんど「無」の気持ちで観始めたんですが、これが意外と引き込まれましたね。

邦画だなんだっていってバカにしてると逆にバカにされる日も近いな!?なーんて思ってたんですがね・・・。


とりあえず(僕なりに)ざっくりあらすじだけ書いていきます。

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清丸という猟奇的な犯罪者に孫娘を殺された蜷川という大富豪爺さんが「こいつ殺せば10億あげる」と日本国民にお願いしたのが全ての始まり!
匿ってくれてるおっさんに「タマ殺ったらぁー!!」とまんまと襲われ光の速さで福岡県警に自首する清丸。
それまでテレビのワイドショー見ながら「大変ねぇ・・・」と他人事だったSPの銘狩と白岩も自分達に「容疑者を護送せよ」と白羽の矢が立ち、一気に真顔に。
別にだんごはあげてないけど、ぬめぬめしたオッサンとすぐキレる若者、ハゲのおじんがお供として勝手に付いてきて護送ミッション(制限時間48時間)が今始まる・・・!


【登場人物】

清丸(藤原竜也)・・・幼女をボコボコにして殺した挙げ句顔射して逃げる。二犯目。北海道出身らしい。
銘苅(大沢たかお)・・・SP。超仕事出来る。SP脳。妻がトラックに轢き殺された過去有。
白岩(松嶋菜々子)・・・SP。シングルマザー。動きはプロだが心にブレが。
奥村(岸谷五朗)・・・刑事。ぬめぬめしたオッサン。動きがいやらしい。
神箸(永山絢斗)・・・刑事。すぐキレる若者。人に対して失礼な態度を取る。仕事は出来るらしい。
関谷(伊武雅刀)・・・刑事。ハゲのおじん。唯一福岡県警から派遣された。
蜷川(山崎努)・・・大富豪爺さん。清丸に孫娘を殺されて憤慨。「清丸殺害で10億プレゼント」企画を考案。死にかけ。

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これで大体の内容は把握していただけましたかね。
「国民は清丸の命を狙ってくるけど、とにかく48時間以内に福岡から東京まで犯人を護送せよ!」っていう話で、
これだけ聞くと日本人好きそうダナーって感じなんですが大体こういう映画って発想一発で撮ってるから穴だらけだったりするんですが、
意外と理由付けはされてたりして、これが最初に書いてた引き込まれた理由の一つだったりするんです。
例えば蜷川が新聞広告でお尋ね者の人相書よろしく殺人依頼するんですが、普通倫理的にそんな広告打てないだろ!とか思ってると
各新聞社のそういう広告のチェックなどを担当してるナントカ部門の人が一斉に辞表出して辞める、とか
まぁそれも専門的な人から言わせるとあり得ないことだったりするんでしょうけど、ちゃんとこういう理由でこうなりましたよーっていう説明があるだけでも好感を持てましたよ。
基本的に僕は陰謀論みたいなものは嫌いなんですが、フィクションかつちゃんと考えられているものだったら良いと思うんです。
仮想敵でも「巨大な力こえーーー!!」ってなれればそれはフィクションならでは魅力だと思いますし。(例:池上遼一作品の大物政治家)
本作の蜷川も既にリタイアした政財界の大富豪で孫を殺された今、捨てるものなど金以外無いという崖っぷち感が恐さを引き立ててて良かったと思いますよ。

あと本作の良さとして僕が一番感じたのは大沢たかおの佇まいですね。というかこの映画の大沢たかおの全部ですね。
この映画の魅力は大沢たかおです!!(大声で)
凄く落ち着いていて冷静で正確な行動を取りつつ紳士的な余裕さえ見せる。鷹の様な眼を持ちスーツを着ていて銃を構える姿が様になっている。
これでもう良いでしょう。(満足げな顔で)
大体僕が映画館に何を観に行ってるかっていうと荒々しい男かスーツの似合う男か可愛い女の子ですからね。
信頼出来ないっていう人は僕のこの2012年映画ランキングをご覧になっていただきたいんですが、とにかくそのどれかが出るだけで4割増ですから!
話を戻しますが、大沢さんは多分SPの訓練などを相当されたんじゃないでしょうか、とても説得力がありましたよ。


ここでみなさんにお知らせがあります。
今回のこの映画の感想で、褒める部分は以上になりまーす!!

いや別に貶したいわけじゃないですよ?少なくとも前半はとても楽しみましたし。
でもこの映画はっきり言って一番重要なメッセージがわからないんですよ。
原作は読んでないのでわかりませんが、映画に関して言うと本当にわかりかねます。


これから観るって言う人、DVDが待てないっていう人はご自身の目で確認を!


ここからはネタバレ大歓迎という人のみ、読んで下さいませ。



<<ここから芯の部分に触れるのでネタバレしてます>>


色々あって銘苅は清丸を東京の警視庁まで連れてくるんですがそこで首謀者の蜷川も現れて銘苅と蜷川は対峙するわけです。
そして会話をするんですが大体「死んだ孫はこんなこと望んでないはず」ということを銘苅が蜷川に言って
殺人依頼を取り消すよう説得するんですが、蜷川は持ってた杖を引き抜いて(仕込み杖を使って)清丸を殺そうとするも
守ろうとした銘苅に刺さってしまいその姿を見て根負けした蜷川は依頼を取り消して逮捕される・・・みたいな感じなんですよ。

この意味が僕にはよくわからないんですよね。
自己犠牲は日本人の美徳ってことですかね。それとも仕事人カッケーってことなんですか。
どちらにせよ訓練された警察官が襲ってきても対処できる戦闘能力を持つ銘苅が風によろける今にも死にそうな爺さんに刺されるっていうことは
このシーンになんらかのメッセージを持たせたいんでしょうけど、それが悲劇的なシーンとしてしか受け取れないんですよ。

その前のシーンで清丸の行動に翻弄されて、遂に銘苅がキレるシーンで「死んだ妻に励まされていると思い込まなければこんなこと出来ない」と吐露するんですが、
「残された者が死者の思いを汲む」というのがメッセージでも良いんですが、それとこの映画の内容がリンクしてないんですよね。
はっきり言ってこういう映画ってジャンル映画に近くて、どうやって事件を解決するかが見どころだし重要だと思うんですよ。
でもこの映画は中盤からそれを放棄していて、どうやって東京まで辿り着くかではなく清丸と言う犯人の悪魔性を際立たせる為に進行して行くんですよ。
そんなの面白いわけないじゃないですか。だから序盤は面白かったのに中盤から突然失速するんですね。
(あるシーンを境にごっそりどうやって逃走したかのシーンは抜け落ちていて、いきなり東京に現れる・・・

しかも交通機関が使えなくなり山道を歩くシーンも、本当に辛そうに、まるでこの世にこの悪魔と自分達だけ取り残されたんじゃないのかと思うように撮られていれば良かったんですけど、
「結構歩いてますよー」みたいな程度で辛さ、地獄感が全然伝わってこない!
わざとかも知れませんが、その後に通りすがりに見せかけて登場する前回の清丸の被害者の父親もただうるさいだけで全然効果的じゃない。

乱暴な言葉遣いになりますが、「日本全国民が、敵になる」っていうキャッチコピーまで付けてるんだから
キチガイキチガイを殺しに来るっていうそれぐらいの展開を期待してますよ。
『悪魔を見た』ははっきり言ってキチガイの遭遇率高すぎですけど、本作は殺そうとして捕まるだけで1億円貰えるっていう設定なんだから
もっとヤバイ武器持った奴が出てきておかしくないでしょう。
せっかく田舎通ってるんだから金に目がくらんだ愉快な頭の国民が鎌振りまわして襲ってくるぐらいやったってバチ当たんないですよ!
それぐらい主人公=観客を追いつめて「なんで俺こんなに追い詰められなきゃいけないんだ」「こいつを守る意味あるのか」って思わせないとダメでしょう。


もし仮に「ジャンル映画に毛が生えた程度」だとしてもまずジャンル映画として見どころが少ない上に、キャラクターも全然活かせてないです。

特に岸谷五朗演じる奥村はぬめぬめしてて嫌な目つきで「私怪しい者です」って感じなのに小悪党でフェードアウトしていくのはもったいなすぎる。
せっかく岸谷五朗を出してるんだから行き過ぎた男性性を出すべき!同性愛の要素を入れるべき!!
あと伊武雅刀演じる昔ながらの頑固で人の良さそうな刑事も、良いキャラクターなのに省略され過ぎで、
犯人とはいえ撃ってしまい一線を越えてしまったという表情でフェードアウトするんですけど、伊武さん自体は凄く良い演技をしてるのに
引っ張った割にすぐに場面転換してしまうので余韻も無いし、もっと哀愁を感じさせないと下手したら見逃してしまいますよ。

とはいえ一番無駄だったのは松嶋菜々子が演じる白岩という女性のSPの役なんですけど、
何歳に設定されているかは知りませんが感情的な行動が多すぎるし、最後までどういうキャラにしたかったのかわかりませんでした。
「頑張ってるお母さん」みたいな雰囲気出してましたけど、どう考えたって自分の今置かれている状況に対しての行動が軽率過ぎると思いました。


色んな感想読んでて「良かった」という感想の中にあるのは大体
「殺すと10億円」というシステムと「猟奇的殺人犯を東京まで護送」ということだけなんですよね。
あとは「パトカーがいっぱい出たから」とか「新幹線を貸し切って撮影してる」とかをまとめて「エンタメ」「娯楽」映画とかいう人もいますけど、
僕にとってそれはメインじゃないんですよね。だったら中盤まで観て帰っても良いじゃんと思うし・・・。


別に怒るような映画でもないのに、
ここまで受け入れられないのはやっぱりキャラの行動の不可解さや、メッセージの理解出来なさなのかもしれないです。

もし、

銘苅があそこまで徹底して仕事に疑念を持たずに行動できたのは何故か!?
死んだ妻がそう望んでいるからと思いこんでるから?いや違うね!

「そう(仕事)することでしか生きられない」という清丸とはまた別のキチガイだったからだよ!!


・・・というオチなら両親指を天に高く挙げながらフルスマイルで帰路に就くことが出来たでしょう。(おれのかんがえたわらのたて)


でもそれって超観たいじゃん!!(小学生)



〜補足など〜
ヒムロック嫌いじゃないんだけど映画終わった瞬間に流れるエンディングテーマはどうかと思うよ。『闇の子供たち』思い出したよ。
「支離滅裂とかいう人はフィクションとしてこのエンタメ映画を楽しむべきです!」って人多いけど、じゃあ中途半端な社会風刺みたいなの入れるなよと言いたい。
だったらもっとイルなアサシンとかおねーちゃんのオッパイとか見せろよ!それがエンタメだろ!?(多分違う)
・突っ込み所と言えば、「飛行機は整備士が墜落するように仕掛けたから使えません」って言うのは呆れたな・・・。流石に飛行機を故意に墜落させたら10億でも割に合わない刑食らうでしょうが・・・
・あと最後凄い多くのビルが立ち並ぶ警視庁前でうだうだ話してたけどその隙にスナイパーに狙われたらどうすんだよと危機管理能力の無さにハラハラしてた
・『相棒』の映画の時もそうだったけどさぁ、「国民は時として敵になる」みたいなの、もう止めようよぉ・・・
・銘苅を天使、清丸を悪魔みたいな感じなんだろうけどやっぱり悪魔対悪魔が観たいなぁ
松嶋菜々子は本当にコスプレ以外の楽しみ方がなかった
・奥村(岸谷五朗)が手首を気にした辺りで「おっ!?ドリアン的な展開か!?」と少しワクワクしたんだけどネ・・・
・あ、まさかとは思うけど清丸が脱走して民家の女の子を襲いそうになる時、髪に白い物が付いていましたがあれ ワ ッ ク ス じゃないよね?
・結果としては「大沢たかおがSPという設定で頑張るPV」としてとても楽しめたんで良いんですけど・・・。



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<追記>
そういえば『藁の盾』の宣伝チラシの裏に相関関係図みたいなのが載ってたんですが・・・


『藁の盾』チラシ画像


日本全国民の所の画像がシュール過ぎる・・・


「年代別映画チラシ大図鑑」というサイトさんから借りてきました。