『サウダーヂ』

更に二か月ぐらい経ちました。(7月13日)

久しぶりに覚えてる範囲で感想を書いていきたいと思います。


京都でもやるということで、前回嫌な思いをしたので二度と行きたくなかった映画館へ行ってきました。(そこしかやってなかったので)


さて、感想なのですが、前評判を聞いていたのでハードルが上がっていましたが、まぁ面白かったと思います。
時代に置いていかれて、留まるどころかじりじりと後退している地方の田舎都市感が十分に出ていました。

時代に置いていかれて、というか不況の波が生活に死活問題で関わっているという点では時代を象徴しているとも取れますが。


冒頭の掘削シーンは、閉鎖され、見通しのつかないことを居心地の悪い場所でさせられているという
まさに環境を含め精司の生活を表しているかのようでした。

もちろん「土方」と呼ばれる肉体労働の仕事が悪いというニュアンスを持つということではなく、
不器用ながらも土方一筋で生計を立て、多くを望まず小さい幸せを感じながら生活をしていたのに、
そのような生活もままならないくらい仕事が成り立たなくなってきている。
そういうことが表れているようなオープニングシーンだったなと。

現場(現地の作業場)でのコミュニケーションの齟齬や、家庭での妻との表面化していない気まずさ。
完全に壊れている訳ではないけど、歯車が噛み合わず何かが少しずつずれていくような感覚。

どこから始まったのか、何がおかしいのかわからない・・・というよりは直視出来ないまま精司だけでなく、
登場するキャラクターがそれぞれの問題を抱え、それぞれどこかに逃げ場を求める。

そんな生活もなかなかうまくいかず、ふと思い出すのは「良かった頃の過去」
全てが悪意を持って行われているわけじゃないのに、良くない方向に少しずつ傾いて行く。
現在は取り返しのつかない過去になって、「良くなかった現在」も幸せだったことに気付き後悔するが、
それでもそれぞれの生活は続いて行く。


そんな映画でした(笑)。
や、別にネタバレではないですよ?一切細かい内容には触れてませんので、ええ。
というかはっきり言って事細かに書いていくと物凄い量の文章になるので無理ですしね。(確か上映時間3時間ぐらいあったような)

改めてこう思い返してみると、ネガティブな映画じゃないなーと思いますね。
いや、観終わった後は正直ズーンと気持ちが落ちていたんですが、整理して書いていくと
「苦しいし、間違うかも知れない、たくさん間違うかも知れない、けど、それに気付けば何度でもやり直せるじゃない!」
そう思える作品なのかも知れません。

まぁそれにしたってカカオ99%チョコレートぐらいビターな映画であることは間違いないですけどね(笑)。

実際観る人によって、観るタイミングによって、この映画を観て感じることは全然違うと思います。


でもなんか良い映画だと思いますよ。
暗いか明るいかとか、この作品を観て全員ハッピーになれるかどうかは置いといたにしても、
充実したものを観た、と思えると思います。

観た後は受け止めきれなくても、こうやって後から思い出すことで、徐々に納得出来ることもあると思いますしね。

あまり普段の生活が上手くいっていない方や、何か分からないけど心の中にしこりがあるような複雑な気分の方は、
機会があればご覧になられると良いかもしれません。


〜雑記〜
・奥さんのなんとも言えないあの感じ。ああいう人絶対どっかで見たことあるわー。
・地元の元ヤンキー女トリオの生々しさ。特に太り具合!
・タイ人ホステスの具合も良い感じ。インリンっぽい。
・でも一番良かったのはノリの良いギャルみたいなホステスが数人いたキャバクラ(スナック?)だった。
ああいう所に、私は行きたい。(綺麗に締めくくった感)