『ドライヴ』


Tジョイ京都で鑑賞。


一言で言うと超カッコいいー&シブい!映画でしたね。

まず、やっぱり冒頭の強盗逃がしシークエンスね!
カーアクション映画とかでよく見られるカーチェイスシーンですけど、退屈なものも多いんですよね。
というか見せ場として派手になってしまうものとリアリティを持たせようとして地味になってしまうもの、
そのどちらも作品の内容と合っていないとそのシーンだけ浮いてしまったり、単に面白くなくなってしまったりすると思うんです。

ですがこの作品はどれだけブレーキをかけないでスピード出せるか、などの「走り屋」的な見せ方じゃなくて、
どれだけ追手の裏を掻くかという正に「逃がし屋」といった感じで逃がすことを第一に考えた走りって感じで新しかったですね。
単純に速く走ってる見せるとか、派手なクラッシュシーンはないのにこんなにハラハラするカーチェイスを観れるんだなーと。
(もちろんドライビングテクニックも超一流でした。)


特に一旦停車はキテましたね!(笑)
個人的にはGTAでパトカーに追われる時と重なるなぁなんて思いました。
(GTA?などでは警戒中のパトカーの視界に入らなければ指名手配されていても見つからずそのまま逃げ果せるのです!)
あと群衆の中に雲隠れするとこも良かったですねぇ。


そんな超カッコいい場面から始まるんですが、意外とその後は地味な展開になっていくんですね。(笑)
観た後は「なんだよ!もっとカーチェイスシーン入れてくれよー」と思ってたんですが、
まぁ多分一番最初にこいつはこれぐらいのテクニックがあるんだぞというのを分からせるために入れたんだと思います。

というか「レーサー志望の整備士が泥棒逃がし屋をする」映画では無く、「その泥棒逃がし屋の男があることをきっかけに・・・」という
アクションよりもドラマがメインの映画なんですよね。結構途中からの展開にビックリした人も多いはず!僕含め!


僕はこの映画で良いなと思ったのは
これまで楽ではなかったけど、自分のペースで生きていてようやくチャンスも見えてきた全方位的にではないが、完璧に「見える」男が、
ふとしたことをきっかけに全然完璧じゃない所を露呈していって、それまでは飽くまで完璧に「見えていた」だけなんだということがわかる所ですね。

何故そう思ったかというと、
前半から途中までは自分の身の丈以上のことは求めないが、クレバーに自分の才能を活かしつつ好きなことを仕事にしている、
僕の様なボンクラ男からすれば一種の完成形とも言える主人公が描かれるのですが、(笑)
悪の道に首を突っ込んだせいで「あれ・・・?全然完璧じゃない!俺の憧れ返せ!!」ってくらい不様な姿を見せつけるんですね。
特にその象徴とも言えるのが観た人の印象に残ってるであろうエレベーターの「愛&虐殺」(ラブアンドマサカー!!)のシーン。
観た人の感想を読んでると結構美しい良いシーンみたいに書かれてるのを散見したんですが、僕はそんな綺麗なもんじゃないと思いました。
もちろん物凄く良く撮れているラブシーンだと思います。あんなに男女の間に流れる空気が「融和する瞬間」を収めた作品もないんじゃないかと思うくらいです。

けど、その後の虐殺のシーンではヒロインがドン引きする程ヤッちゃう。
主人公が喧嘩や人を攻撃することに慣れてないということと、実は心の中に恐怖と焦燥感を凄く抱いていたんだということが表れているシーンだと思います。
普段ポーカーフェイスなだけにとてもわかりやすく感情が顔に出てました。
つまり普通に生きているのを観てる分にはカッコ良くて自分の好きなことしてて才能あるという周りが「ひょっとしたらこいつ万能なんじゃね?」と錯覚するような男が、実は得意分野だけに生きていたからそう見えただけだということが分かる。
人を愛することも得意というわけじゃなくて、だからこそあそこまでバランスが傾いちゃう。

いわゆるそういう醜さや人間として欠陥した部分も描いているのが良いなと思いました。
完璧な人間が嫌いとか、完璧だと思った奴が落ちていく様が滑稽で面白いとかそういうルサンチマン的なことではなくて、
それまであまり見せなかった主人公の男の人間臭さみたいなものがエレベーターのシーンでグッと出てきたのが良かったというか、
愛くるしいとすら思いましたね。


あとね、この男が誤解される原因の一つとして大きいのがおセンスが非常によろしい!!
身に着けてるもの、服や小物、鞄などどれをとってもセンスが良くて更に似合ってるのが良過ぎで悪い!!(混乱)

でもこれは意図的にそう誤解させるように作ってるのだと思いましたよ。音楽とか作品自体の雰囲気とかもオシャレですし。

にしてもこの男全然ミッションをコンプリート出来てませんでしたねぇ・・・。
心が優しいせいなのか、チキンなのかわかりませんが予期せぬ事態が起こる→「うわああああああ!」ってなってるとこばっかでしたネ!
っていうか男どうこうの前に、自分のパトロンになるおっさんが敵ってその時点で詰んどるやないかって話ですよね・・・。


でも僕結構好きですよ!この映画!


〜補足など〜
ロン・パールマンいかついよロン・パールマン
・ゴズ公ことライアン・ゴズリングカッコ良過ぎ。『ブルーバレンタイン』の時と違い過ぎ。
ロン・パールマン唇ぶるんぶるんだよロン・パールマン
・きゃりーまりゅまりゅことキャリー・マリガン可愛すぎ。でも実は身長170cmらしい・・・。
ロン・パールマンドンキーコングに見えてきたよロ(ry
・実はこの映画観る前に劇場で生ビール買ってそれを飲みながら観てたので「これがホントの飲酒運転や!」なんつってはしゃいでました。(一人で)