『おおかみこどもの雨と雪』

(日本を元気にします・・・ってそんな映画だっけ！？)

この作品は何の前情報もなくポスターと予告を一回観たぐらいで観に行きました。
今考えるとそれが良くなかったのかも知れませんが・・・。

さて、さっそく感想を書いていきたいのですが・・・。

先に率直な感想を書いておくと僕はこの映画で特に何もひっかからなかったです。

その理由はいくつかあります。

まず１つ目。これはこちらの問題だと思いますが、こういう映画だと思ってなかったんですね。
もっとコメディ映画っぽい感じで家族３人で頑張っていこー！みたいな感じかと思ってたら結構シビアな生活が描かれてたりなんかして。
でもまぁそんなことって映画を観てるとよくあることですよね。予告が悪いとかそういうことではありません！！ありません！！(嘘くさい)

まぁこんなことはどうでも良いんですが、２つ目からが本当の理由で、それはこの作品の「リアリティ」についてです。
僕は現実とは違うからと言って頭ごなしに作品を批判するのは違うと思っています。
また「リアリティ」があるからといって作品自体を手放しで褒めるのも違うんじゃないかなと思います。
この作品の感想や褒める言葉として「実写と見間違うほど」という言葉をよく見聞きしましたし、
製作者の方々も「リアル」な風景や描写にこだわってこの作品を作られたんだと思います。
ですが・・・スイマセン身も蓋もないことを言います。
アニメ作品などをこういう言葉を聞いた時、またそういう作品を観る度、じゃあ実写で良いんじゃないの？っていつも思ってしまいます。

もちろん実写作品では出来ない、もしくは二次元の作品でしか表現出来ないからこそアニメという形式を取っているのはわかっています。
しかし、僕はストーリーや話の内容を重視して観るので、「見映え」や「綺麗さ」はあくまで作品に付属するもの(メインでは無くサブ)だと思っています。
確かに最新の技術を駆使した表現や、今までになかった工夫などを観れる喜びや快感というものがあるのも分かりますし、
それを評価される方がおられるのもわかります。ただ、僕はそういったことを重視しないということです。

では内容はどうかと言うと、様々な要素を盛り込んだということはわかりますが、大きな盛り上がりの波はなかったなという印象です。
厳密に言うと、「雨と雪がどう生きるかの選択」という盛り上がりの波はあったんですが、それが(冒頭に繋がりますが)僕にはひっかからなかったです。
他にも細かい出来事はたくさん詰まってて、例えば雨が人間としての人生に迷いを感じる時に出会った(ロシア？の)狼や、
雪が最初対立する草平というキャラクターとの出会いは、それぞれのその後の人生を決定づけるエピソードになっていたり、
母親の花が都会から田舎に移り住んでも、引っ越したからといって上手くいかず、四苦八苦するという所も細かい描写を入れて語られています。
アニメらしからぬ人間の繊細な機微のようなものも表現できていて「簡単にしていない」なと思いました。
それは同時に「わかりにくい」とも言えますが、「わかりにくい」から興味がないだとか、嫌いと言ってるわけじゃなくて、
そういう「わかりにくい」描写を取り入れて語りたかったことや伝えたかったことが僕の感覚ではひっかからなかったんです。

おおざっぱに言うと自分の琴線にひっかかるかどうかの問題、ということなんですが。

・「リアリティ」について
・話や構成に興味が持てるかどうか

前者の「リアリティ」はこの記事の中では視覚的なことを指した言葉ですが、後者の内容についても現実に即しているかどうかにこだわられていた様な気がします。
(「わかりにくい」描写はそのせいかと思います。)

しかし、メインのキャラクターは可愛らしくそこのギャップと言いますか、なぜこういうアプローチでこの作品を、と思ってしまいました。
「狼と人間のどちらにもなれる種族がいる」という設定こそファンタジーですが、それ以外はほとんど現実にあってもおかしくない内容だっただけにね。

この作品のことについて詳しい方に「ここはこういう意味があってこういうことを示唆している」といったことを聞いても
「なるほど」とは思いますが、特に感想は変わらないのだと思います。
それは恐らく僕がアニメというものを実写作品より感覚で観ているということ(が大きいの)だと思いますね。

アニメにここまでの「リアリティ」は要るのかということはうーんという感じですが作品自体は好きでも嫌いでもないので凄い熱量で「これはクソだ！」なんて言う感じでもないです。
なんだか不思議な感じですが、こういったタイプの作品もあるのですねー。

特に締まりがないですが、この作品の感想を終わりにしたいと思います。

〜補足など〜
・唯一作品としての完成度が気になったのは割とアニメのキャラっぽくデフォルメされた時の「おおかみこども」達の絵のタッチですかねー。なんか絵柄が単純に可愛くなかった所が多かった気がします。
・先生役の染谷君、あまり好きじゃないんですが今回の声優としては凄く自然で上手かったと思います。
・一つだけ文句を言わせて貰うなら谷村美月ちゃんを出すならもっと出して下さいよ！！(憤怒)
・宮崎あおいちゃんは、『カラフル』の時ホントに物凄く良かったんですが、今回は何故かしっくりきませんでした。
・2時間長い。