『レ・ミゼラブル』



(ょぅι゛ょヵゎぃぃ)



デッド寿司』が上映最終日ということで出かけるのを決めてたんですが、
デッド寿司』が夜の一回だったので、昼間暇だなーなんか映画やってないかなーと思ってたらやってたので観ました。

それくらいの感じだと思って読んで下さい。


レ・ミゼラブル』ファンの方、原作ファンの方、映画の感動を共有したいと言う方は気分を害される可能性があります・・・。
あとネタバレを含むのでまだ観てない方はお控えなすって・・・。




感想なんですが、前半はテンポの速さとミュージカル映画ということに若干の違和感を感じてましたが、
「ファンティーヌ(アン・ハサウェイ)のエピソードをもうちょっとじっくり観たかったな」ということ以外はおおむね好きでした。

特にバル・シャーク!*1の・・・違った、ジャン・バルジャンが新しい自分に生まれ変わると誓う所なんかはグッと来ましたよ。
単にリセットするという意味の「生まれ変わる」じゃなくて、むしろそれまでの自分から逃げずに向き合って全て自分の中で清算してから
もう二度と昔の自分には戻らないぞ
、という決意が燃えるじゃないですか!

僕は無宗教なので宗教自体に興味は無いんですが、天啓とかを受けた人の姿って割と好きなんですよね。熱いものがあるので。
あ、でもその熱さをこっちにぶつけてくる宗教の人は嫌ですけど。

誤解の無い様に書きますが、別に宗教してる人が好きって訳じゃ無くて、哲学とか美学とかを揺ぎ無く持ってる人とか、そういったものに気付いた人の描写とかが好きなんです。
(わかりやすく言うと池上遼一作品の様な・・・って余計わかりにくいか。)


まぁ僕の好き嫌いは置いといても、ジャン・バルジャンの全ての始まりのシーンなので、凄く重要だと思いますし、
このシーンは映画として上手く出来ていたと思います。(特に教会での自問自答のシーンなどは)


なので、この出来事がどう結末と関わってくるのかー!!と期待していたのですが・・・。


元々、ミュージカル(原作もある)ということですし、変えられないし全部詰め込まなきゃいけないっていう制約は大きいと思いますが、
良し悪しは置いといて、大雑把な感想としては僕が観たいシーンと実際に映画で長く配分されているシーンが違ったなという印象です。


前述した通り、僕はジャン・バルジャンが司教にガッツリ心を持ってかれて、うおーーー!!俺は生まれ変わるぞー!!っていう宣言がどう周りに揺さぶられ、貫かれるのかが観たかったんですね。

単に美談が観たいっていうんじゃなくて、はっきりいって「昨日までは汚い人間でした、でも今日からは違う!」なんてそれを心がけることは出来ても、完璧には実現出来ないと思うんです。
つまり「そんなこと出来るわけないじゃん。何いい子ぶってんの。」っていう視線も必要なんです。
それを乗り越えて「いや、俺の言ってることは綺麗事かも知れない。でもやり通すんだよ!無理でもな!」っていうのがあってこそ感動出来ると思うんで。


本作における「そんなこと出来るわけないじゃん。」って言う存在はジャベール(警官)なんですけど、これが微妙なんですよね・・・。
すげー嫌な役で、ジワジワと要所要所でジャン・バルジャンを追いつめてきて、ここまで凄く良いんですがラストの展開が僕にはちょっと腑に落ちませんでした。
民衆を守るはずの警察が、守るべき貧困にあえぐ民を苦しめていてそれをずっと行い、加担してきたジャベールは悪なのだと思いますが、
彼も「彼の中での正義」というものを貫き続けてきた、少なくとも映画内では単純な私利私欲のために動いてきた人物としては描かれないのに、
あんな終わらせ方で良いのか!?と思ってしまいました。
確かに嫌な奴だし、行ってきたことを見れば、「上からの命令を実行していただけ」という言い逃れも苦しいです。
しかし、「愛の物語」というからにはそれを正してその間違いに気付かせるのも「愛」なんじゃないの?と思いました。
宗教的な教えを前面に出せといってるのではなく、あれだけジャン・バルジャンとジャベールは因縁があり、運命的と言っても良い位の相手なんだから・・・もうちょっとどうにか出来ないんかなと。

あとジャベールというキャラクターの落とし所の付け方とは別に、ジャン・バルジャンの後半のガッカリ感は凄かったです。
それこそ前半の天啓を受けた件はどこ行ったのって感じの「三日後に戻る!(戻らない)」「娘を離したくない!」みたいなのは「えー」と思いましたよ。
娘(ファンティーヌの娘)を無事育てる、というのはファンティーヌとの約束だし使命なのはわかりますが、
「じゃあ使命を終えたんだから約束守れよ!なにフランダースの犬の最後の教会のシーンみたいになってんの?」って強い違和感を感じました。
(もうこの時には約束守ろうにもジャベールいなくなっちゃってるんですがね。)
(あと後半はやってることがそこらのオヤジと一緒)


その「ネロとパトラッシュの最後」よろしく「俺はもうやることはやったゼ・・・アバヨ」みたいなシーンのあとの大合唱の所も
「えっ?いきなり?」って思いましたし、まぁでもあの大合唱は正直舞台で観ると感動するんだろうなー!と思いましたけどね。


もう一つうーんと思う点がありまして、それは途中で出てくるファンティーヌの娘、コゼットをファンティーヌに頼まれて嫌々育ててるサギ夫婦のことなんですけど、
「あの二人のシーンあんなにいらなくない?」という単純なことなんですけど。
ストーリーから消せと言ってるのではなくて、単に長いって事なんですが、
あの二人よりジャン・バルジャンがどうなるか、ジャベールはどう動くのかが気になるわけですよ。

演じてたサシャ・バロン・コーエンは順調にウザかったですし(全うに来た仕事をやりきってたと思います)、
ヘレナ・ボナム=カーターはいつも通りでしたし良いんですけど、ただでさえ味付けが濃い二人が3D並にサシャってボナって来るんでお腹いっぱいっていうか「もう胸やけするから帰って!」って感じになるんですよね。
ストーリー的にもキャラ的にも出過ぎだしシーンは長いし・・・唯一の救いは成長した娘が一番良い子っていうことくらいでしたね。



レ・ミゼラブル』という物語自体全くの初見だったので、映画の評価というよりは物語が肌に合う合わないの問題かもしれないのですが、
最初勝手な期待を抱いてしまっただけにガッカリしてしまいました。

いつか舞台版の『レ・ミゼラブル』を観たいと思います!


〜補足など〜
・あの「赤い服でデブ!」っていういかにもなサンタもどうなん?って感じだったけど・・・
ジャン・バルジャンと間違われた人についてのトム・フーパーおざなりな態度
アン・ハサウェイ意外と登場シーン短かったね
・ファンティーヌが堕ちて行くエピソードも、もうちょっと悲惨さ出せたらグッと物語に入って行けたんだけどな
「革命だー!」「わー!」「わー!」って言ってたのにその後のフェードアウトの仕方よ。結局どうなったか教えろよー!
・ファンティーヌの歯を折るとこはサラッと流したのに、なんでジャベール落ちた時の骨が折れる音だけリアルなん?(節子風に)
・「実はあの人が助けてくれたのよ」「マ・ジ・か!!」って大体分かるやろ!!(怒)
・この映画のファンの人すいませんでした・・・

*1:バナナマン日村さんです。