『パラノーマン ブライス・ホローの謎』

こないだまで寒かったと思ったら、急に温かくなって薄いパーカーなんかを着て出かけたら
昼間は暑い、夕方は思ったよりまだ寒くて踏んだり蹴ったりでした。




さて、これを書いているのは4月28日です。(ここまで挨拶)





(予告じゃ伝わらないコトがある!)


『コララインと魔女のボタン』のスタッフ(監督は違う)が満を持して作った新作なんですが、先に感想を言うと
これは最高!!もう最っ高!!


・・・取り乱してしまいましたが、本当に良かったです。


観る前までは、「予告観ても微妙だなー」とか「単打くらいの映画かな」(凄い失礼)とか思ってたんですよ。
なんか響くものが無かったので、僕の中で「観なくても良い映画」に分類されかかってたんですね。

観ようか観まいかのシーソーがギッコンギッコン左右に上がったり下がったりしてたんですが
実際そういう「ま、これは観なくても・・・」なんて人多いと思います。

それを証拠に公開日から一ヶ月を待たずして公開が終わってるんだもの!!

これは由々しき事態ですよ。

いくらなんでも「黙って観ろ!!」なんて乱暴なことは言えないので、
そんな観てなかった人or観れなかった人達の為に簡単にこの映画の見どころを書きたいと思いますので、
DVDが出たら是非買うかレンタルしてみて下さい。(こういうのはそれによって結構リアルに次の作品出るかどうか決まったりするんで)


<『パラノーマン ブライス・ホローの謎』が最高な5つの理由>
キャラクターの造形や世界観が最高!
ストップモーションアニメなのに動きが滑らか過ぎて最高!
ありがちな設定の映画かと思ったら良い感じで裏切られて最高!
あるキャラクターの救われ方が最高!
明日から前向きに生きられるメッセージが込められてて最高!


「結局自分は他人とは違うから・・・」と寂しい気持ちになったことのある人は是非観て欲しいです。
また他人を恨んだり、そういう自分が嫌だったりしてどうして良いかわからなくなった経験がある人にはもっと観て欲しいです。


単純にどんな映画か気になる人は、同じスタッフが作っている『コララインと魔女のボタン』はDVD出てるので先にそっちで予習だ!


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最初に何回も言っておきますがここからはネタの部分について語りますので今回もネタバレをします!
なので観てない方は是非映画館にって言いたい所なんですが・・・公開終了してますので、DVDの発売を待っていただきたい!!
というわけで待てないという方と観た方のみ読んで下さい!



確かに僕も観始めて途中までは
「はいはい。また『キャビン』的なやつね。「過去の映画マジリスペクトっス!」みたいなやつね。」
と思って斜に構えて観てましたよ。


でもね、あのゾンビたちが何故復活しなければならなかったのかが明らかになった辺りから僕の心の真ん中を鷲掴みされましたよ!


特にその理由が全て明らかになった時の裁判長のジャッジの瞳を観た時に全部持ってかれた感じになりました。

過去に自分達がしたこと、そしてそれによってされたことを全てを語っているようなあの瞳・・・

あの哀しい瞳を君は見たか・・・!!(昂り)


まずそこのシーンでやられて、次にノーマンをみんなが守る所でも少しグッときて、
更にあのアガサちゃんがまさに泣き叫ぶように、今までの憎しみや悲(哀)しみを吐き出すように雷をまき散らす所でヤバくなってきて、

トドメはアガサちゃんの思い出と、ノーマンがとった行動で3Dメガネが見えなくなるくらいまで涙を流してしまいました。


あれは観てる方も「君はもう十分戦ったから、頼むからゆっくり休んでくれ・・・!」と思わざるを得ないですよ。


ただ単に泣かせようとする演出っていうんじゃなくて、ちゃんと考えて作ってるなと思う所がたくさんあって、
例えば「手を繋ぐ」ということの意味とかは、あれは繋がるという意味の他にノーマンからの「友達だよ」「1人じゃないよ」というメッセージとも受け取れたりもするし、
隣で肩を貸して休ませる所も良い距離感だと思うんですけど、凄くエモーショナルなシーンなのでハグしたり肩を抱いたりさせることとかいくらでも出来たはずなんですけど、
敢えてその距離感でしたのは肉体的なことでは無くて「心で通じ合ってる」というということを表したかったからだと思うんですよね。
あとアガサちゃんのお母さんとの話も、単純に泣かせるためだったらもっと広げた方が良いのに、それをしない素晴らしさと言うか、
そうしないことによって観客の想像が膨らんでより感動が増すんですよね。
ただカッコつけるためにやってるんじゃなくてちゃんと理由があってキャラクターに行動させてる所も感心しました。
キャラが死んだり、大言壮語を言わせることによって「パブロフの犬」的に泣かせようとするシーンではなくて、
それぞれの辛さをわかりあえたことで結果的に生まれる言葉にし難い感動、しかもそこに含まれているメッセージは凄く前向き
という本当に最高にわかってる監督とスタッフども!(褒め)


ジャッジ率いるゾンビ達は苦しみながら苦しめていたアガサちゃんを鎮めようとするんだけど、
そのジャッジ達を殺そうとしていた暴徒化していた街の住人達は、霊が見えるノーマンも殺そうとするというシーンを完成させただけでも凄いんですよ。
このシーンで人を「憎む」という行為の愚かさを客観的でいてわかりやすく見せれている所は脱帽ですね。
僕はこのシーンを観てもわかる通り、そういう行動に走ってしまうことの根底には「恐怖心」があるからだと思います。
本当にそうしたいからではなく、「恐怖心」と熱に浮かされてさもそれが当然の行為のように振る舞ってしまう。
そういったことを描くことで恐いから消すということの中には野蛮さがあり、しかもそれは解決策ではなくまた同じことを繰り返すということまで示していて見事だと思いました。


あと「魔女狩り」ってほとんど映画で取り扱われなかったと思うんですけどそれをこういう形で取り扱うっていうのも良かったです。
もちろん、実際に無い罪を被せることと本当に残虐な行為をしたことを批判したりすることは全然違うと思うんですけど、
こんなにわかりやすく「憎む」という行為の愚かさをあっさりと見せつけられたので、「ナチス」や「テロリスト」みたいなものを
あまりにも簡単に悪として描いてそれを倒して楽しむのもいかがなものかと思いましたよ・・・。
物語の中の敵も何度も繰り返しやられ続けるわけですしね・・・。
こういう書き方はあれですけどアニメに凄く大人な感じで大事なことを教えられた気がしました。


あとは凄く細かいけど何気に大事なことを言うと、
全てが終わった後、実はノーマンの住む街の人々は(少なくとも表面上は)何も変わってないんですね。
これに関して腑に落ちなかったり、そこだけ観ると結構残酷なシーンだから絶望する人もいてもおかしくないと思うんですけど、
僕は全員が理解してくれて自分が住みやすい世界に変わったという風にしないことで「世の中なんてそんなもんだ」という
メッセージであり真実を描いているのではないかなと思いました。
でもラストの家族の反応を観ると、自分が何かを伝えたり行動することの有意義さと主人公のノーマンはちゃんと成長したんだという
ことを示しているのだと思うので、監督からのエールなんじゃないかなと思いますよ。
こういう甘やかしたり都合の良い世界を見せるんじゃなくて、きちんと事実を伝えた上で励ますという感じも正しいし最高ですね。


こんだけ書いといてあれですが、キャラの造形とかも最高なんですよね。
予告では気付きませんでしたが凄く動きも滑らかで、言われないとこれはただのCGアニメかと思いますよ。
独特のキャラデザインも良かったですねー。特に太っちょの友達とか最高に愛らしいじゃないですか。
あと声優の豪華さ!お姉ちゃん役はアナケンさんことアナ・ケンドリックさんだし、
バカないじめっ子役は『キックア・・・いや『スーパーバッド 童貞ウォーズ』のマクラヴィンさんことクリストファー・ミンツ=プラッセさん、
それよりもなんと言っても変な叔父さん役のジョン・グッドマンことジョン・グッドマン!!(興奮)
『アルゴ』『フライト』に続きまたしてもジョン・グッドマンさんですよ。今回もグッドマン!(恒例化)

ノーマン役の子もコディ・スミット=マクフィー君という『モールス』の主人公だった子みたいですね。
演出なのか、少しこもった感じの喋り方がなかなか良かったです!
あと一番の主役とも言えるアガサちゃん役はジョデル・フェルランドちゃんという妖精みたいな顔した可愛いカナダの女優の子が演じてたみたいですね。
怒ってるんだか泣いてるんだかわからない感じが声にも出てて凄く良かった!



ホラー映画へのオマージュも、最近オマージュが凄いものが多いですが本筋とは別に遊びの要素として飾られていて、
完成度が高いから気付かないだけで最近のものはパロディやオマージュが過剰なんだと思わせるような、こっちの方が正しい姿勢な感じがしました。



大きいことから書いていってしまったので細々としたものは最後に残ってしまいましたが、とにかく僕にはかなり突き刺さったということは伝わったんじゃないでしょうか。

これだけ書いてもまだ良さが上手く伝えられてないのが歯痒いですが、とにかく早くDVD(出来ればBru−ray)出して欲しいし、
イカ社が製作した新作を早く出して欲しいと願うばかりですよ!!


ここまで読んだけど観てない人は見えちゃいけない人に邪魔されてもDVDレンタルして観るべし!!



〜補足など〜
・太っちょの友達の声優を調べたらタッカー・アルブリッチという子でほとんどそのまんまだった
・「死者が見える」って設定も、めちゃくちゃポジティブな解釈というか「呪われた才能」じゃなくてこの子には「人生を楽しむ要素」の一つなんだ!って感じも最高だったな
・吹き替え版がなかったのはちょっと残念かも知れないけど、吹き替え版しかないよりマシだ!
・『シュガー・ラッシュ』、別に悪い映画じゃないんだけどこれ観たせいでほとんど内容が吹っ飛んじゃったんだよね・・・
・『フランケン・ウィニー』とも比較されがちだけど「スパーキーが可愛い」ということ以外は比べものにならないと思う
・ゾンビ目覚まし時計やゾンビ電動歯ブラシ欲しい
・『ハロウィン』好きとしてはあの着信音は嬉しいし、俺も一時期あの着信音にしてた
「栗原類はノーマンそっくり?! 「パラノーマン ブライス・ホローの謎」記念イベントにコスプレで登場」・・・・・・吹き替え版が無くて良かったかもね・・・




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