『クロユリ団地』

どうも、二日連続更新です。
昨日とは一変してめちゃくちゃ晴れてやんの!!(本日6月16日)
梅雨はどこへ!



さて感想書いていきます。
今回もネタバレしますので、「まだ観てないけどネタバレいや!」という方はまた今度来て下さいますようお願いします。




(MOVIX京都で観ました。)



あのー・・・映画館で映画を観ようって思ってから実際に観て帰るまで結構段階あるじゃないですか。
用意して電車やなんかで移動して、上映時間の前までに映画館に着かなきゃいけないし、
こう言っちゃなんですが、一回の楽しみの割には結構な値段のチケット買って時間を割いて観るんですよね。

なので、そこまでして観るんだからかなり楽しくなきゃ満足しないっていう気持ちもある半面、
僕みたいな貧乏症はそれでも元を取ろうとするから色んな解釈で観るんですよ。
つまんなかったらつまんなかったで、それも面白い経験になれば良いという感じで。
つまりつまんなかったことも含めてプラスになれば良いやと思う方なんで、
映画を観て「つまんなかった」とは思いますが、「観なきゃ良かった」とは思ったことは無かったんですけど、

クロユリ団地』観て、本当に観なきゃ良かったなって思いました。


一応言っときますけど別に怖かったからとかじゃなくてですよ?(笑)

もう一通り怒ったんで良いんですけど、一応観たら感想を書くという決まりを自分の中に設けているので、感想書いていきたいと思います。


まずなんでこんな感じになっちゃったかと言うと、僕は製作側の「これを受け入れろ」っていう姿勢が見えてしまったのが大きいんですけど、
それはどういうことかというと、映画って監督のメッセージとか世界観を味わうものでもありますけど、
それって「俺はこう感じてる」っていうのが新鮮かつ面白いものじゃないとやっぱり共感できないと思うんですよ。
例えばデヴィッド・クローネンバーグの『ビデオドローム』とかわけわかんない映画だけど、他じゃ見れないし、
まさに「悪夢」的な映像が見れるだけでも観る価値があるし、ドバーっと性的な映像が流れるわけじゃないのに物凄い扇情的な気持ちにさせるような映像が見れるってだけでも素晴らしい映画だと思うんですよ。
それを一般的に「センスがある」って言うんだと思うんですけど、この『クロユリ団地』は観客に理解させようとすらしていないというか(それはもちろん『ビデオドローム』もそうなんですが)、
「これはこういうものだからこう」みたいな親切さに欠ける所が多すぎたんですよね。


脚本の三宅隆太さんは幼い頃から特別な状況に置かれていなくても日常的に霊が見えていて、そのことを今回の映画に反映させているとおっしゃっていて、
なのでそれに基づくと「霊=怖い」というものでもないらしいので、今回の映画は「ホラー映画」ではなく「心霊映画」とおっしゃっていました。
*1

そもそも霊はそういったものなので、「怖がらせる目的では作っていない」ともおっしゃっていたんですが、
すいません、物凄く乱暴かつ消費者意識の強いことを言ってしまうかもしれないんですけど、
そんなこと言われても「で?」っていう気持ちになっちゃうんですよね・・・。


もちろん、映画の評論をなさる方や評論家の方、冷静に映画を分析されたい方は対象となる映画の裏側を調べて、
監督がどういう意図を持って作ったのか、脚本ではどうなっていたのか、変更はあったのかなどを知る必要があるし、
そういう見方をすると「ああ、なるほど」となるかも知れません。

ただ、普通の観客はそういったことをしませんし、下調べが必要な映画っていうのは僕は親切さに欠けるとしか言えないと思います。
それとは別に、「そういう意図があって作られたんだな」とわかった今でも、作品の完成度が高いとは思いません。
怖がらせたいのか、悲しませたいのかが最後まではっきりしないまま終わっていきましたし。
例えが続いて申し訳ないですが、サム・ライミの『ギフト』という映画も「霊が見えちゃう」人が主人公でしたけど、
うまくサスペンスとホラーが混ぜてありましたし、「事件の謎を解く」という推進力も相まって面白く最後まで退屈しない映画でしたが、
クロユリ団地』は「霊が見えちゃう」主人公が早い段階で肯定されますし、それに早い段階で主人公が精神のバランスが崩れちゃった人=主観が信用ならないという
ことが分かってしまうんですよね。加えて主人公が自主的に解決に向かおうとしない


すいませんけど・・・現実の社会ならともかく、フィクションの世界で言っても聞かない人を応援しようとは思わないんですけど・・・。
あとさっき言った『ギフト』をはじめ、主人公が「霊が見えちゃう」映画では基本的に周りから否定されますよね?
なぜなら主人公に感情移入させるためには「孤独感」を出さなきゃいけないからですよ!
ここまで読んで、「いや、今回も否定されるじゃん」と思った方、よく思い出して下さい。
否定されたのは主人公の妄想の中でだけです!
一応説明しますけど、死んだ家族がまだいると思いこんでいる主人公は勝手にいると思いこんで死んじゃった家族と話すんですが、
そこで隣の部屋の不気味さを訴えるんですけど、家族からは「そんなことない」と言われるんですね。

「は?」としか言いようがないんですけど、妄想の中で否定されるんですよ。もう何が何やらわからないですよね。

で、介護学校でもクラスメートから白い目で見られるシーンもあるんですが、それはクラスメートが隣の部屋で死んでた爺さんに見えたから突き飛ばしてしまって
「こいつなにやってんだよ」という顔でクラスメートから見られるっていうだけなので、霊とか関係ないです。


そして満を持して登場するのは成宮くんなんですけど、なんとこの人、最初から理解者なんですね!
びっくりしましたー最初から最後まで主人公を受け止めるだけの人でした。
なので勝手に孤独感感じている主人公に感情移入出来るはずありませんよ。(血は繋がってないけど優しい両親もいるし)


こっからは完全な僕の持論と言うか考えですけど、
そもそも主人公を演じる前田敦子という人はAKB48にいたわけですけど、なんで卒業を発表した時のことが未だにネタにされるのかというと
AKB48のイメージを背負って批判を受け止めていた彼女はずっと我慢していたのかあまり感情を表に出さなかったんですよ。
多忙と言うのもあり、段々顔からも生気がなくなっていって、それがまた批判されたり悪口を言われたりしてたんですが、
そんな彼女が遂に卒業と言う時にあんなに感情を露わにしたというのが物凄い衝撃で、やっぱり色々な物を抱えていたんだなと思う光景でもあったんですよね。
つまり「普段そんな人じゃないのに!」っていう(言い方は良くないですけど)ギャップがインパクトになって印象強く残っているんだと思うんですけど、

そんなことも踏まえて前田敦子を起用するんだったら当然そういったイメージを使うべきじゃないですかね。
それに厳密にはホラー映画じゃないにしろ、どんどん追い詰められていく役なんだから終盤まで我慢して最後に感情が爆発するからカタルシスというか観客も乗れるんじゃないですか?
なのに今回もう観た方は嫌という程ご存知かと思いますが、終始泣き叫んでるんですよね。
泣き叫んでやつれて助けようとすると暴れるっていう・・・。
「お前はもうそれでいいから、近寄らないでくれ」って言いたくなるのは・・・きっと僕だけでしょうね!


それと怖くないのも「心霊映画だから」っていう主張もわかりますけどね、
だったらCMとかプロモーションの仕方が完全に間違ってますし、それを指示出来なかったのは製作サイドの問題ですよね?
「こういうもんだから理解してくれ〜」っていうのも度が過ぎると「俺(これ)を受け入れろ」ってことだから結局TVシリーズのエヴァのシンジ君の最初の方と一緒ですよ!


もう丁寧に説明するのも面倒だからここからは凄く雑に文句言っていきますね!!

・前半の散歩みたいなシーン、不穏な空気出す為だけ(歩いてる老婆を映したいだけ)にしては長すぎ!
・ミノル、意味わからな過ぎ!逆恨み過ぎ!自分の親を呪え!
・ごみコンテナの中にいたからそのまま焼却場へ、って最後成宮君も燃やされてたけど、コンテナごと燃やすバカがどこにいるんだよ!!
・そして成宮君燃やされてる時のミノルの顔な!どや顔してるけどお前そこにいたら一緒に燃やされるから!あと特殊メイク微妙な!
・占い師みたいなおばさんの存在自体がギャグ過ぎ!取り巻きみたいな巫女集団謎過ぎ!!
・ただ血吐いたシーンで笑ったので最初からこういう方向なら良かったのにね!!
・最後の鼻歌なんですかねあれは。(真顔)


ここまで言っといてなんですが三宅さん自体は物凄く好きです。
『七つまでは神のうち』は観て感想書きましたし凄く楽しめましたよ。
ただ、自分の主観が周りにとって必ずしも共感出来るものでは無いということをお分かりいただきたい!!
「そんなことわかってる」と言われても思われている以上にそのことを意識していただきたいということです・・・。



初めて上映中に家に帰ろうかと思った映画でした。



〜補足など〜
・僕、団地に住んだことないので万が一コンテナごと焼却場に入れる所があればすいません
・多分だけど、あれって昔学校の焼却炉に子供が入っちゃって誰にも気づかれずに燃やされちゃったっていう都市伝説を元にしてるんじゃないか?
・ただ構造的に真似してるだけだから辻褄が合ってないんだな・・・。むしろこの予測が外れていることを願う!
・そもそもタイトルを「クロユリ」にしたのってもしかして花言葉が「呪い」っていうだけ・・・?
・呪われた団地の割に未練残して死んだ人少ないな!
・あ、これから「何もしない」「助かろうともしない」「泣いてうるさい」主人公禁止ね
・別に照明が緑うんぬんとかってよりも「きますよーきますよー」っていう感じで夜なのに陽が射して家族の幻影が映るシーンの方が引っかかったわー
・一つ案なんだけど、あっちゃんじゃなくて藤原竜也さんに主人公して貰ったら良かったんじゃないかな・・・
「なんで僕なんですかー!!」「やめて下さいよーー!!」「もう帰って下さいーー!!」「そうだ僕は嘘つきなんだーーー!!」
・・・万事解決じゃないか!
・理不尽なホラー映画って解決方法とか脱出方法とか無いのがあるけど、この映画は「勝手にしてくれ」という新しい感覚を味わわせてくれたね!
・唯一良かった点あったわ!介護学校にいた「クロユリ団地って・・・」っていう女の子が可愛かったこと!
・同じ地面に飲み込まれていく系でも『スペル』とは大違い!!サム・ライミはやっぱり偉大だった!
・もう『リング』の中田秀夫じゃなくて『クロユリ団地』の中田秀夫にして貰えると間違って観ないんでありがたいんですが・・・。


みんな!梅雨だけど、良い映画観ようね!!
はい、いつものやつですー!
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*1:2013年5月18日放送 TBSRADIO 『ライムスター 宇多丸のウィークエンド・シャッフル』内「サタデーナイトラボ」にて