『セルビアン・フィルム』

ようやく一カ月ぐらい前の感想です!全然映画観てないな!俺!!(本日7月16日)


さて、今回は『セルビアン・フィルム』という映画の感想を書こうと思うのですが、
その前に観た時のことをちょっと書きたいと思います。


京都みなみ会館での上映最終日に観たのですが、この『セルビアンフィルム』という作品は内容が内容なので
連日レイトショーでしかやってませんでした。

1日なので1000円で観れたのですが、そのせいもあってか上映前には人がちょっとびっくりするぐらいいまして、
中にはご年配の夫婦とおぼしき方までおられて、「う?・・・え?・・・大丈夫!?」という心配を勝手にしていましたよ。
「ふらっと物見遊山で来たんじゃないの!?」と思ってしまう様なカップルなどもいて一人でハラハラしていました。


というのもこの作品はそのテのモノ好きの方々もToo much!と言いたくなるようなメガ牛丼Wサイズな感じのファンサービスがある映画なんです。


いつもは予告編の動画を埋め込みで入れていますが、今回はそういった作品が苦手な方もおられるでしょうし、
何より予告編からしてハードなのでリンクを張るだけにしておきます。


『セルビアン・フィルム』予告(※グロいのが苦手な方は止めておいた方が良いと思います)(クリックすると開きます)


では本題に入りたいと思うのですが、

本作品には、倫理的にも表現的にも最悪の描写がございます。20歳未満の方には、決してお見せ出来ません。また20歳以上の方であっても、心臓の弱い方や体調の優れない方の、ご鑑賞はお勧めできません。お客様、各自の責任においてご鑑賞下さい。

と、公式サイトに注意書きが載せられているぐらいちょっとどうかしてる作品なんですが、
僕はこういったジャンルに「特に詳しい!」というわけではないので、公式サイトにある高橋ヨシキさんによる解説文を読んでいただきたいと思います。

『セルビアン・フィルム』公式サイト 「ABOUT THE FILM」ページ
(公式ページは予告編を自分の意思で再生しない限りは怖いものは出てこないので安心して下さい)(クリックすると開きます)


ヨシキさん絶賛ですよ。『ドリーム・ホーム』(公式サイトのリンクです。もうレンタル始まってるので、モノ好きな方にはオススメですよ)の時もヨシキさんがオススメされてて、観に行ったら大傑作で去年の個人的ランキング2位に入れた程でした。
(『ドリーム・ホーム』の僕の感想はコチラ)

なので、今回も観に行くしかないと。そう思い行ったわけです。


前置きが長くなりましたが、僕のこの映画を観た感想は「観て良かったけどもう観たくない!!」でした。

これには色々と説明が要ると言うか、色々はしょりすぎなんですが、
僕のようなボンクラ映画好き野郎は通常の映画では既に満足しないというか、やはり刺激を常に求めてしまうわけですよ。
もっと豪快なものを!もっとフレッシュなものを!と常に新しいものを欲しがってしまう。
この作品は

「そんなお前らにはこれじゃ!!ほれ!これが観たかったんか!!」とばかりにファンサービスをこちらにぶつけてきます。


簡単に言うと倫理的にやってはいけないこと思いつく限りやっちゃいました!って感じなんですが、
しかもこの作品が単なるゲテモノで終わっていないのは、決して軽くなってない所です。

スプラッターや、グロなど過激な描写のある映画というのはこちらもそれを分かって観てるし、
「ある程度」の「度」が過ぎるとリアリティがなくなってホントに薄っぺらいものになりがちなんですよ。

だから、そういうジャンルの映画(に限ったことではないんですが)を撮る監督は、演出や構成など色々な手を使って
観客を飽きさせないように、作品がつまらないものにならないようにするわけですね。
(逆にスプラッター描写にリアリティを持たせずギャグにしてしまうというのもありますが)

この作品も最初から最後まで作品内に過剰に緊張感を持たせていて、「はいはいそういう映画ね」みたいに思わせない、
むしろ「これからどうなるんだろう」と思わせるように作られていました。


あらすじは元ポルノ男優の主人公が昔の仲間に誘われて怪しげな仕事(撮影)を引き受けるが・・・というものなんですが、
こういった作品の肝である「実はこうでした!」っていうのが、まーーーぶっ飛びすぎてて展開はわかっててもそんなんアリかよ!と思ってしまいました。
監督の『わらの犬』にも似た精神を感じました。
それに加え今回は「お前らが敵だと思ってるあれ、お前らだからな!!」という痛いご指摘までいただいて、もう至れり尽くせりというか踏んだり蹴ったりですよ。(使い方がおかしい)


僕は何よりこの映画で一番凄いなと思ったのが、そのぶっ飛び方の塩梅です。
上手く説明することが出来ませんが、この映画の感想を人に言う時に、「いやー!こんな映画があってさぁ!!」という感じでは無く、
「いやぁ・・・こんな映画があってさぁ・・・」って感じになるんです。
多分それは先程も書いた通り、ぶっ飛び過ぎるとギャグになってしまうのですが、ちゃんとギャグにしてない所が凄いなと。

それは全体の暗いトーンや、コントラストのバランス、撮り方や編集の仕方、もちろん演技など全ての要素に気が配られているからだと思います。

僕はこの作品の監督が倫理的なメッセージを込めているかどうかは別にして、ここまで非倫理的なものを見せられると
変に道徳的なメッセージに結びつけようとしている作品なんか比じゃない程、道徳や倫理について考えさせれます。

ていうか「調子乗って危ないことしてるとこんななっちゃうよ〜〜〜!!」ってことを何よりもわかりやすく見せられてるみたいで
「はい!!もう調子乗りません!!!」って思うんですよね。


作品の説明や、理屈臭いことはここまでにして、ここからは割とどーでもいい感想を書きます!!!(※ネタバレします)
思いついた順なので登場シーンはバラバラです。


・出てきた瞬間から主人公のお兄さんが嫌だ!!
なんなんでしょうか、あの嫌らしい感じ。こいつ上辺の皮が剥がれたら何するかわからねぇなって雰囲気!ヤダねぇ。

・間違った性教育!!
自分の出演するビデオをそんな所に置くなよ!そして「手で追いかけてごらん」ってそれ変な性の目覚めの仕方だから!
「おいおい今やるな家でやれよ家でw」じゃねえし!

・ポルノビデオのシーン、わかってるね!!
冒頭から主人公が過去に出演したポルノビデオのシーンから始まるのですが、危ない街を表すにしてもちょっとやり過ぎだなーと思っていたら
それはポルノビデオの中のセットだった!っていうこの時点でわかってるね!って思ってしまった。
そしてそのシーンが本当のポルノビデオよりエロい!!なんでだろうね。(いわゆる抜けるってやつとは違いますが)

・ドラッグ描写がヤバい
この映画の主人公は黒ーい組織にヤバいお薬を打たれまくるのですが、その薬の作用が「薬が切れるまで性欲に取り憑かれる」というもので、
獣の様になってしまうんですが逆らえない力によって支配されてしまう、まさに悪夢を見ているようなシーンは薬を打たれていないこちらも具合が悪くなってしまいそうになるぐらいでした。
体験したことがないのでわかりませんが(当たり前)、無理矢理覚醒させられている様な、カフェインで無理矢理体を動かしてる時と似ているのかなとか色々考えちゃいました。

・あのシーン
主人公が「もうギブ」ってなった時に、脳内が前衛的過ぎる黒い組織の芸術パッションマン(『デビルズダブル』の時のドミニク・クーパー似)に「わいのこの芸術わかったれいや!!」と見せられる
色んなことに、色んな方面にアウトな映像は人によっては観るの止めちゃうぐらい気持ち悪いと思います。
あのシーンが一番辛かったかも知れない。アグネスが観たらサイコキネシスで監督ぶっ飛ばしちゃうレベル。

・一番自分は大丈夫か!?と思ったシーン
前半に登場する少女の目の前で・・・というシーンは一番自分が不安になりました。
自分は反応してしまったらどうしようという恐怖というか、そういったものに興奮する気質があったらどうしようと思う怖さと
自分に対する不安にかられました。これもアグネスが観たらメガオプティックブラスト級。

・そして絶望エンディング
はっきり言ってこれに比べれば『アーティスト』のおっさんの絶望なんて傍から見たら超幸せだよ!!泣いてないで働け!

・音楽
改めて予告観ると音楽も良かったなー。加速させつつ重苦しい感じも出してて素晴らしいですね。これからこの映画の音楽聴く度に何かに追われる恐怖で自分を奮い立たすことが出来る!!(間違った使い方)



愚にも付かないことをぐだぐだと書いてしまいましたが、もしこういったジャンルの映画が大丈夫で、興味のある方がいらっしゃれば
劇場が無理でもデカい画面でデカい音で観ていただきたいですね。監督も迫力が無いから「なんだこんなもんか」って思われるのはちょっと本意じゃないと思うので。

ただ、その音がご近所に聞こえてトラブルが起きたり、その日から白い目で見られたりしても僕は一切責任取りませんので!!!

あ、上映終わってるっぽいですが、もうちょっとでDVD&Bru−ray出るらしいんで、モノ好きな人はそちらで。


〜雑記〜
ご年配の夫婦の方、大丈夫だったかナ!!?(カップルっぽい人達は上映後ひきつった笑顔でした)